小平町の「タコ箱オーナー制度」をご存知だろうか。
二人の漁師が小平町のタコPRに一役買い、三年連続で協力
してきた事業だ。
阿部さんは、小平町臼谷で三代続く漁師の家系に育った。
幼いころから海や港、父母が働く作業場が遊び場だった
という。
高校卒業を迎えた18歳の時、人生の羅針盤をしっかりと
胸に定め父と約束を交わした。
「25歳になったら、必ず漁師になる!それまでは自分の
思う通りに外の世界を見てくる!」と。札幌へ進学し、卒業後
は道央圏で会社員として働いた。
そして、約束通り25歳で小平町に戻り、漁師となった。
子供の頃から慣れ親しんでいる、潮の匂い、波の音、「海」
のそばでの暮らしが一番落ち着くと言う。
漁師を始めた当初は、他の漁師に負けたくないと気負った
時期もあった。日々の水揚げに一喜一憂することも多かった。
今では自分を育ててくれた父の背中を追いつつ、昨日より
今日、今日より明日へと自分の腕を磨き続けている。
「タコ箱オーナー制度」は、一箱5千円でオーナー気分を
味わえるという企画が反響を呼び、見学会には本州から
も訪れた。見学会は、タコ箱漁を知ってもらえる貴重な機
会となった。「小平のタコの美味しさをもっと伝えたい」と
真剣な表情で語る。
年々、タコの水揚げ漁が減少する中、水産資源の将来を
見据え、漁業者と消費者が共に何らかの行動を起こす
時期だとも考えている。今はまだ漁師として、他より秀でた
ところがあるとは言えないが、いつの日か「あいつには
かなわない」と認められるような漁師になりたいと語る。
◆るもいfan通信 VOL17
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大きなタコを片手に笑顔の阿部さん
阿部さんのお母さんが
茹でる新鮮なタコは絶品です
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