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命の重みと向かいあう・・・・・林 豊行さん(苫前町古丹別)

苫前町古丹別に住む林さんは、三渓の水田農家に
生まれた。
三渓は古丹別から南に12q離れた山間部にある
地区だ。
子供の頃から周囲の大人たちが語る大正時代の
ヒグマ事件を耳にして育った。
実際、小学生の頃には家の裏手でヒグマに遭遇した
こともあった。

ある日、熊撃ちで有名な大川 春義さんに声をかけ
られた。
大川さんは、幼い時にヒグマ事件で仕留められた
熊を実際に見て、被害にあった住民の霊を慰めようと
熊撃ちになった人物であり、生涯で百頭あまり
のヒグマを仕留めた名人だった。

「ヒグマ撃ちに連れて行ってやる」
林少年は、『鉄砲の春さん』の異名をとる大川さんに
連れられ、熊撃ちに行った。
その後、大川さんが猟の師匠となるとは、想像もでき
なかった。

林さんは、手に職をつけるため、理容師の道へ進み、
札幌・横浜で修行を重ねた。
25歳で地元に戻り理容店を開業した。
同時期に猟友会に入り、大川さんと息子の高義さんに
を狩猟の師と仰いだ。
その二人も既に他界したが、猟用刀を形見として受け
継いだ。
常に手入れをし、猟には肌身離さず持ち歩く。

現在、林さんは駆除目的以外で動物を撃つことはない。
農家などからの要請で、鹿の駆除を主に行っている。
「3月から8月の出産、子育て時期の鹿は撃たない」
と公言する林さん。
小鹿が群れの中で生きられるまでは、親鹿の命を
奪わないというルールを自らに課している。

大川さんら先人達が熊の亡骸に米や酒を供え弔った
姿にならい、欠かさず動物達の供養を行っている。

鹿も人間も同じ動物。
その命を獲る重みと痛み、野生動物との共生という
命題に向き合っている。





るもいfan通信 VOL18






 
 明るい笑顔で
      ハサミを扱う林さん
 


 
  大川さん親子から
       受け継いだ猟用刀

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