「専業農民」
自らをこう呼ぶのは初山別村栄(しょさんべつむらさかえ)で農業を営む山本康男(やまもとやすお)さん。トレードマークの長髪を後ろで束ねたスタイル。眼鏡の奥から覗く優しい目が印象的だ。
代々農業を営む家に育ったが、山本さん自身は若い頃から写真を撮ることに興味があり、社会人になる頃には大阪で働きながら写真学校に通った経歴を持つ。大阪で暮らした日々の中で改めて感じたことは農業の大切さ。
昭和45年、山本さん20代の後半を迎えつつある頃、都会暮らしを捨てて、両親のたんぼを継ぐことを決めた。大阪からのUターン以来、農業一筋。当時継いだ耕地は3ヘクタールだったが、今では18ヘクタールまでに拡大。農業も機械化が進み、耕地面積を広げ収穫量をあげることが安定経営の道との考えからだ。
山本さんのこだわりは低農薬・無農薬での農作物の栽培である。かつて妻の信子さんが農薬が原因と思われる体調不良となったことをきっかけに、農薬を使わない栽培を研究し始めた。信子さんと二人三脚で農業一筋に歩き続けている。山本さん夫妻が育てた野菜などを販売する無人直売所には、二人の想いがしるされた手紙がそっと置かれている。
〜ここに並んでいる野菜は 私達ができるだけ農薬を
ひかえてつくっています 山本康男・信子〜
さりげない心遣いに買う側も安心して買うことができる。
生まれ故郷の自然を愛する山本さんは、忙しい農作業の合間を縫って、今も写真を撮り続けている。デジタルカメラ主流の時代に、フィルムカメラにこだわり続ける理由は、デジタルで撮った写真は気に入らなければ消すことができる「データー」になってしまうからだ。それよりも、フィルムの一枚一枚に写し撮る感覚に魅力を感じている。初山別村の自然や人々の営みを撮った作品は、村の「岬センター」に飾られており、数々のコンテストでも受賞経歴を持つその腕前を観ることができる。
現在、山本さんは二人の息子とともに、もち米作りに励んでいる。二人の息子達が一人前の農業者となるその日まで、「専業農民」として、その後ろ姿を息子達に見せていく。
「農業は確かに難しい。だけど、それに向かっていく気持ちがないとダメだ。毎年同じことをしていてっもやっぱりどうにもならない。天候・自然に合わせた仕事をすること。これは、永年の経験が必要だよ」他人と同じことをすることを好しとしない生き方が「専業農民」と自身を呼ぶ誇りあらわれなのかもしれない。
第2回もえる天北オロロンルート第2回フォトコンテスト
「各マチ賞」受賞作品「水平線に旭(あさし)」
山本さんの受賞作品はこちら
第1回もえる天北オロロンルートフォトコンテスト
第2回もえる天北オロロンルートフォトコンテスト
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◆プロフィール
山本康男さん
昭和18年生まれ
初山別村出身
苫前郡初山別村字栄在住
初山別村社会教育委員長
初山別村文化協会会長
オロロン農協総代ほか
国道232号線沿い(栄地区)で山本農園直売所を持つ。春から秋にかけて農園で栽培した野菜などを販売している。
山本農園お問い合わせ
電話番号:0164-67-2535 |
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直売所に並ぶ季節折々の野菜
トマト・きゅうり・ピーマンなどの定番野菜はもちろん、食用菊や冬瓜・ズッキーニなどの新顔野菜もあり、選ぶのが楽しみだ。
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山本さん自慢のたんぼ
10月下旬には今年も無事に収穫を終えた |
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