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天塩の優美 草刈直吉さん ( 天塩町 )

 終戦後故郷の天塩町に戻った草刈さんは獣医師の免許を取得。
当時、農家の牛や馬を野草地へ放牧すると、下痢や脳炎などを起こすことがあり、
解剖の結果毒草が原因であると判明。草刈さんは、毒草や野草の分布状況を調べ歩くようになった。当初“仕事”であった野草調査が、昭和40年代から本格的なライフワークとなる。

 ある日、ドライブ中に妻の登美子さんが崖の下で白根葵という花を見つける。
この花は二人の思い出の花となり、草刈さん著の「天塩の野の花」の巻末にて自ら短歌を詠んでいる。「崖に咲く 白根葵は鮮やかに 妻と旅せし一時の夢」

 登美子さんは平成17年に生涯を閉じた。
草刈さんにとってこの本は故郷の自然を伝えると共に、亡き妻へ届ける花の手紙なのだ。この本の中で、道北では咲かない花を一種類だけ載せた。

 最近は山に行くことも少なくなり、現在の草刈さんの楽しみは自宅の庭を眺めること。「名も知らぬ草を見つけることがひそかな喜び」と笑顔と共に語ってくれた。

                                       2008.5.20 天塩町





草刈さんの飾らない笑顔は、野に咲く花のように優しい

草刈直吉さん著
「天塩の野の花」
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